[オーガナイザー] 倉爪 亮(九州大学) [講演者] 清原 將裕(日立製作所) 瀧口 純一(三菱電機) 友納 正裕(千葉工業大学) |
非整備環境下での移動のためのセンシング、あるいは移動しながらのセンシングには、いわゆるマシンビジョンや静止画を対象としたCV技術とは異なる、移動体ならではのアプローチやテクニックが必要です。本セッションでは、典型的な移動体としてクルマとロボットを取り上げ、車載センサシステム、準天頂衛星による位置同定、移動ロボットのための環境センシングなど、近年実用に供されつつある新たな技術や最先端の研究事例について、3名の専門家より解説いただきます。
自動車には予防安全機能や利便機能のための様々なセンシング技術が搭載されています。その中でも撮像素子の低価格化・小型化・高ダイナミックレンジ化を背景として、車載カメラを活用した製品が続々と世の中に送り出されるようになりました。本講演では、最近の日米欧の自動車市場・規制動向について簡単に触れ、画像認識技術を応用した最近の車載システム例について紹介します。また、実際の製品では、設計値に対するカメラ取付誤差や車両姿勢変動、多種多様な天候や路面状態、水滴等のレンズ付着時の頑健性、などの外乱への対策が必要であり、車載特有の難しさがあります。こうした課題への対応含め、実利用に向けた画像認識技術の例と考え方について紹介します。 |
2010年9月11日に初号機“みちびき”が打ち上げられ、2011年9月30日の閣議決定において、2010年代後半までに4機体制、将来的には7機体制を目指すことが政府の方針として決定されました。実用準天頂衛星測位システム(QZSS:Quasi-Zenith Satellite System)は、日本で天頂付近に常時1機以上の衛星が見えるように複数の衛星を準天頂軌道に配置する日本独自の測位衛星システムであり、自動車、鉄道、船舶、観光(マンナビ)、農業(IT化農業)、建設(IT化施工)などの我が国産業の高度化や国際競争力の強化に極めて重要です。本講演では、実用準天頂衛星測位システムの紹介と、屋外/屋内における移動体位置センシング面での利用の取り組みについて紹介します。 |
人間の生活空間を移動するロボットには、運搬・案内・掃除などのサービスロボット、電動車椅子やパーソナルモビリティの走行支援など、多くの応用があります。これらのロボットが屋内外の多様な環境を安定かつ安全に走行するには、ロボットの環境センシング能力が大きな鍵となります。その要素技術として、環境の3次元形状地図の生成、地図の構造化と意味づけ、既存地図とセンサデータの照合によるロボット位置の推定(自己位置推定)、障害物検出などがあります。本講演では、カメラやレーザスキャナを用いた移動ロボットのための環境センシングの研究動向を、講演者による研究事例を含めて紹介します。 |
[オーガナイザー] 野口 稔(日立ハイテクノロジーズ) [講演者] 藤原 伸行(明電舎) 渋谷 久恵(日立製作所) 諏訪 正樹(オムロン) |
画像を応用した検査システムは、産業界のさまざまな領域で活躍しています。これらのシステムでは、ヒトの目と脳では実現できない処理量、処理速度あるいは処理精度を実現しています。さらに、これらのシステムがヒトに代わって実用化されるまでには、外乱、ノイズに対するロバストネス、ヒトが使う上での使い安さを実現しなければなりません。このセッションでは、こういった実用化システムを開発している3人の講師の方々にご講演頂きます。如何にして、性能だけでなく、ロバストネス・使い勝手の要求に応えたか、皆様の研究開発のヒントになることと思います。
電気鉄道の安全輸送においては、車輌へ電気を供給する架線の健全性が欠かせません。この架線の保守点検作業を画像処理により自動で行なう架線状態検測システムを紹介します。このシステムは車輌の屋根上に搭載したCCDカメラやラインセンサにより走行中のパンタグラフ周辺の画像を撮影し、この画像を解析することで車輌走行時の架線高さ・架線偏位(横方向の架線位置)・架線の摩耗状態等を自動的に計測します。撮影装置は営業車輌や作業車輌に搭載できる程度に軽量コンパクトな構成になっています。このシステムは既に複数の鉄道会社様に使用され、屋外で実利用されるビジョンシステムとし活躍しています。 |
外観検査の役割は、品質の作り込み、すなわち不良品を場外に出さないということだけではなく、製造装置の異常を早期に発見し、その原因を特定することです。そのためには、センシングして画像処理するという従来の外観検査の後に、原因特定のための解析が必要です。本講演では、検査により得られる欠陥情報から、原因特定に有効な情報をパターン認識により抽出する広い意味での外観検査技術を紹介します。また、これらの技術を基に、予防保全への適用を目的として開発した、多次元時系列センサデータに基づく異常予兆検知技術について併せて紹介します。 |
画像センシングの実用化において、(カメラ出力という意味での)センシング入力として輝度値情報のみを用いた場合、照明変動等の外乱に対する脆弱性やユーザーが利用する上での使いにくさ等の課題が生じることはこれまでのSSIIにおいても数多く議論されてきました。これらの実用化課題に向けた対策手段として、輝度値情報のみならず対象の3D情報あるは反射特性情報を活用する例が近年多数報告されてきています。そこで本講演においても、外観検査・マシンビジョン応用を例にとり、3D情報や反射特性情報を有効的に活用する事例を紹介します。 |
[オーガナイザー] 堀田 政二(東京農工大学) [講演者] 原田 達也(東京大学) 篠田 浩一(東京工業大学) 窪田 進(東芝) |
特定の物体や内容を対象としない、一般画像認識や映像検索に関する研究は、産業への応用や人間の認知能力を工学的に模倣することを目的として、多くの研究者が取り組んでいるテーマとなっています。特に、この数年はクラウドコンピューティングや新たな特徴表現の発展を背景に、進展が1年単位にみられるほど非常に競争の激しい分野となってきました。このオーガナイズドセッションでは、一般画像認識、映像検索技術、およびこれらの実用化に関して一線でご活躍の研究者を招き、この分野の最新動向を網羅できる講演を企画いたしました。「超大規模データ」や「汎用特徴」などをキーワードとして、この分野の将来展望や画像センシングへの応用を見いだす機会となればと考えています。
近年のインターネットの発達により大量の画像とそれに付随するタグなどの付加的情報が容易に入手可能となり、この大規模な情報を用いて一般画像認識を構築する試みが盛んになってきています。本講演では大規模画像データセットを用いた一般画像認識の潮流を紹介します。また、大規模データを用いた画像認識を行うにはスケーラビリティを維持するために線形識別機を用いることが多く、線形の識別機であっても十分な識別能力を発揮するためには画像表現が鍵となるため、近年の画像表現手法に関して解説を行います。 |
近年、Youtubeなど、インターネット上の映像データの急激な増加に伴い、高性能な自動映像検索技術の需要が高まっています。この背景のもと、米国NISTの主催で、映像検索の様々なタスクにおける検索性能を競う国際競争型ワークショップTRECVIDが毎年開催されています。昨年も、世界中から有力な大学・企業106チームが参加しました。この講演では、このTRECVIDにおける最新動向を紹介し、好成績を挙げている映像検索技術について概説します。特に、意味インデックス、イベント検出のタスクにおける、確率・統計に基づくデータ駆動型アプローチに重点をおいて説明します。 |
東芝における一般物体認識技術の実用化に向けた取り組みについて紹介します。まずカラー画像用の汎用特徴抽出処理と計量学習手法について、その開発の経緯なども含めて説明し、次にそれらの技術を用いた製品やサービスの例を紹介します。 |
主催:画像センシング技術研究会 (会長:輿水大和)実行委員長:久野義徳