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特別企画
オーガナイズドセッション

世界経済の急激な変化に伴い、産業構造の変革が必要とされる中、新潮流を見据えた3つのセッションを企画しました。1)画像センシングの新たな方向性を探る「新分野」、2)話題急浮上の 「ドローン」、3)産業界での進展著しい「画像認識」です。学術領域から実ビジネスまで広範囲の第一線で活躍される講演者が揃いました。皆さん、一緒に未来を熱く語りましょう!

OS 1: 産業界で今まさに成長期に入った画像認識

2015年6月11日(木) 11:10-12:45

オーガナイザ

西山正志(鳥取大学)

セッション概要:

カメラから取り込んだ画像や過去から蓄積された映像を通して実世界の状況を理解する画像認識技術は,産業界からの期待が大きく市場は今まさに成長期に入ったといえます.安心・安全な生活を支える基盤として,画像認識は皆様の身の回りで必要不可欠な技術となりつつあります.しかし,画像認識はセンシングという観点で実用化されているため裏方役にまわることが多く,画像認識そのものが実際の現場でどのような仕組みで活用されているかを皆様が直接触れ合う機会が少なかったと思います.このオーガナイズドセッションでは,今まさに成長期に入った画像認識の基盤技術と活用事例について,ビジネスの最前線でご活躍されている講師の方々にご紹介して頂きます.現場で必要とされる真の技術とは何かを豊富な活用事例を通して皆様と追体験していきます.

【各講演のご案内】

混雑環境の安心・安全を実現する群衆行動解析


宮野 博義(NEC)

新興国を中心とした都市化の急速な進展と共に、事件や事故の発生リスクの高 い駅や繁華街など混雑環境での安心・安全を確保したいという要望が世界的に 強まっており、各都市で防犯カメラの設置が積極的に進められている。多くの 防犯カメラで得られた映像をすべて人手で確認・解析することは非常に困難で あることから、有用な情報を効率良く選別できる画像認識技術は無くてはなら ないものになりつつある。本講演では、混雑環境を解析する画像認識技術とし て弊社が取り組む群衆行動解析技術を紹介し、あわせて安心・安全の実現に向 けて画像認識技術をどのように活用しているかについて事例紹介を行う。

自動車の安全運転支援のための画像認識プロセッサ


岡田 隆三(東芝)

近年,自動車の安全機能は、事故の被害を低減する衝突安全から、事故を未然に防ぐ予防安全へと発展しています。さらに、予防安全の技術は、これまで人が担ってきた自動車の運転の一部を自動化する流れを生んでいます。このような予防安全や自動運転機能を実現するためには、自動車周辺の道路状況や乗員の状態を認識する技術が重要となります。本公演では、車載センサとしてよく用いられるカメラから得られる映像を解析する画像認識技術と、それを車載環境で高速に実行するための画像認識プロセッサVisconti(TM)ファミリーについて述べるとともに、この事例を通して、企業において画像認識技術を実用化するまでの課題や道のりについて紹介します。

画像解析技術と番組アーカイブス検索システムへの応用


河合 吉彦(NHK)

放送局には番組映像やニュース映像、その関連映像などが大量に保管されてお り、これらを効率的に検索するための技術が求められています。また近年、放送 システムはテープベースからファイルベースへと移行が進んでおり、映像検索技 術の重要性は今後ますます高まっていくものと考えられます。しかしながら、大 量の映像データに対して人手でメタデータを付与することは現実的ではありませ ん。本講演では、弊研究所で取り組んでいる画像解析技術の中から、物体認識技 術と類似画像検索技術について紹介します。また、局内向けのシステムである番 組アーカイブス検索システムへの応用事例を紹介します。

OS 2:飛び立て!ドローン

2015年6月12日(金) 11:10-12:45

オーガナイザ

仙田 修司 (NEC)

セッション概要:

近年、自律型のマルチローターヘリの登場で無人航空機(UAV=Unmanned Aerial Vehicle)が身近になり、ドローンの名称でニュースなどでも取り上げられることが多くなりました。空からの映像が手軽に撮れるようになったことで、映像制作の幅が広がっただけでなく、近づきにくい場所での観測・計測や空からの警備などが実現されようとしています。また、荷物の運搬や人の誘導などの新しい利用シーンも検討が進んでいます。 本オーガナイズドセッションでは、何となく気になっていた今話題のドローンについて、様々な角度からご講演いただきます。最先端かつ実用的な話題が多数含まれていますので、ぜひご期待ください!

【各講演のご案内】

マルチコプターのFly-away:原因と画像による飛行制御の必要性


和田 俊和 (和歌山大学)

近年,マルチコプターと呼ばれる無人回転翼機の商業利用の機運が高まっているが,同時に,多数の事故も起きており,安全性の向上も急務である.本講演では, マルチコプターの構造と飛行制御のしくみを概説し,様々な事故原因と,その中でも飛行制御自体が機能不全に陥るFly Awayと呼ばれる事故とその原因について説明を行う.そして,GPSとコンパスを用いた飛行制御には問題点があり,画像センサを用いることで,より信頼性の高い制御が行える可能性を示す.

セキュリティにおけるドローンの活用とそれを支える技術


尾坐 幸一 (セコム IS研究所)

近年、ドローンを活用したサービスやアプリケーションの提案が多くなされるようになってきました。セキュリティ分野においても、防犯・防災・避難誘導・インフラの点検などの用途で、ドローンを利用できる可能性があります。 本講演では、民間防犯用としては世界初で発表した自律型の小型飛行監視ロボットシステムの概要の説明を致します。また、このシステムを実現する技術として、画像解析技術・センシング技術・ロボット技術・空間情報技術について解説致します。

自律飛行ロボットPhenoxと研究開発プラットフォーム


此村 領 (東京大学, Phenox Lab)

Phenoxは、自身の電子回路のみで必要な情報を処理する「オンボード処理型」の手のひらサイズの飛行ロボットです。ユーザーはVisionベースの自律飛行と、飛行ロボット自身に搭載されたLinuxシステム上の飛行制御用プラットフォーム、そしてオープンソースライブラリを組み合わせたアプリケーションの開発を行うことが可能です。今回は画像処理という視点から、FPGAを用いたFAST特徴点検出とBRIEF記述子処理を施した特徴点情報と、Linuxシステム上にインストールされたOpenCVを組み合わせることで実現できるアプリケーション例を通して、Phenoxプラットフォームについて紹介します。

OS 3: 新しい分野への挑戦

2015年6月12日(金)15:25 - 17:00

オーガナイザ

千葉 直樹(楽天)

セッション概要:

従来から画像センシング技術は衛星写真の解析、ファクトリーオートメーション、デジタルカメラ、AV機器、携帯電話のカメラなどに幅広く使われてきました。技術の進歩と産業構造の変化により、その展開分野も新しい方向性が見え始めています。本セッションでは、画像センシング技術の新しい分野への取り組みに挑戦されている講演者をお招きし、技術の解説に留まらず、実体験に基づいた課題やその解決法、さらにはビジネスの方向性についても語って頂きます。

【各講演のご案内】

展示施設におけるセンシング技術の実利用


原 豪紀 (大日本印刷)

美術館や博物館といった展示施設において、展示物のガイダンスに画像センシング技術が活用されています。セールスプロモーションやエンターテイメント分野においても、画像センシングを活用したアプリケーションが既に実用化されており、ますます一般生活者にとって身近なものになっていくものと考えられます。本講演では、画像センシング技術を使ったガイダンスシステムの実利用例の紹介、実利用のための課題とその解決法について紹介させていただきます。また、展示施設において、近年進歩が著しいロボットと一般生活者とのコミュニケーションを構築するための画像センシング技術についても実事例を交えて紹介します。

様々なモビリティへのセンシング技術


谷口 恒(ZMP)

私は人間の目の性能を超えるセンサを開発したいと思っています。自動車、建設機械、農業機械、物流機械などあらゆる人間が操縦する機械は、主に視覚情報が使われているからです。ZMPではRoboVisionブランドでカメラの開発をしています。昨今のGPUやFPGA、撮像素子CMOSなどのハードウェアの進化により急速に実現性が高まってきました。最新の開発事例や自動運転技術の応用としてのドライバレスタクシー、ロボタク事業をご紹介します。

マルチメディア食事記録ツール FoodLogとそのデータ解析


相澤 清晴(FoodLog, 東京大学)

健康を目的とした人の行動記録の中で,最も扱いにくいものが食事である.エネルギー消費は,ウエアラブルな活動量計で簡単に測れるようになり,血圧などのバイタルサインも家庭用の計測機器で比較的簡単に計測できる.一方,エネルギー摂取にあたる食事の記録はフォームに記録する伝統的な手法の域をなかなか出ない.我々は,写真で記録を支援するFoodLogとシステムを作り,一般への利用に供してきた.その概要を紹介する.ユーザスタディによる評価やデータの信頼性についての検討も報告する.また,公開してからの1年でも(もうすぐ2年になる),そこで収集したデータは大規模になり,そのデータの解析の端緒を紹介する.また,全体の傾向や個人の傾向について明らかとなる事例について紹介する.