6/13(金)
>>13:45~15:15 口頭発表(メインホール) ※質疑応答なし
>>15:30~17:00 新鋭研究者IS(2F DSゾーン)
1: アルゴリズムの力で自動車の事故率を低減させる!
講師:佐藤育郎(デンソーアイティーラボラトリ) 略歴: |
これまでクルマと言えば、燃費や乗り心地といったメカニカルな側面に多くの関心が寄せられてきましたが、今日では事故を起こさない「賢さ」―つまりコンピュテーショナルな側面―にも多大な期待が寄せられています。自動車業界では、車載センサーを用いた衝突回避装置や警報装置の開発に鎬を削っており、そのセンシング技術は日に日に進化を遂げています。私はカメラモジュールで使われるアルゴリズムの研究開発に従事しています。膨大なピクセル情報からいかに効率的に、より良い推定結果を得るか。これをひたすら考えるスタイルで研究を続けてきました。本講演では、これまでに私が取り組んだ3つの研究事例(移動体検知、バイナリコーディング、歩行者状態推定)を紹介します。それと共に、①推定性能・処理速度・メモリ転送量といった指標を高いレベルに導くため、また②差別化を図るための、アルゴリズム側の工夫について述べます。
2: 点の分布を考慮した特徴量記述子とその応用
講師:小山田雄仁(早稲田大学) 略歴: |
本講演では、講演者が近年取り組んでいる点の分布を考慮した特徴量記述子、トラッキング、及びビジョンアプリケーションの応用研究について述べる。 まず始めに基礎技術である2次元平面上にランダムに分布した点の分布関係を考慮した特徴量記述子(RANDOM)の概要を紹介する。RANDOMの応用研究として、平面ドットパターンを使った簡易多視点カメラ校正について述べる。次に、ドットパターンの配置を3次元空間へと拡張させた特徴量記述子と3次元形状を持つ物体のトラッキングについて述べる。医療分野への応用例として、皮膚科学(Dermatology)における診断支援への応用を目的とした特徴量記述子とマッチング手法を紹介する。 最後に、現在取り組んでいる問題及び今後の展望について述べる。
3: パターン認識のための統計的特徴抽出法 -プリミティブ特徴から高次特徴へ-
講師:小林 匠(産業技術総合研究所) 略歴: |
本発表では著者がこれまで取り組んできたパターン認識に関する研究成果を紹介する。パターン認識は、大きくは入力データからの特徴抽出過程と特徴の識別過程とから成る。そのいずれも認識システムを構成する上で重要な要素技術であるが、ここでは特に特徴抽出過程に注目する。特徴抽出に関しては、大学時代に取り組んだ動画像特徴抽出法(CHLAC)が自身の研究の出発点であり、近年では一般画像認識のための特徴抽出法にも取り組んでいる。これらの研究においては、入力パターンにおける本質的な確率・統計的変動を考慮することで、特定の応用タスクに特化することなく汎用性の高い特徴を抽出することが可能となっている。さらに、近年の潮流とも言える、プリミティブ特徴からより高次の特徴を抽出する枠組みにも触れ、今後の展開にも言及する。
4: 歩容認証 -歩き方の個性に基づく個人認証-
講師:槇原 靖(大阪大学) 略歴: |
人の歩き方には、年齢・性別・感情・健康状態といった実に様々な情報が含まれている。その中でも、人の歩き方の個性をバイオメトリクス(生体情報)の一つとして扱い、個人を認証する「歩容認証」が近年注目を集めている。歩容認証は、他のバイオメトリクスとは異なり、カメラから遠く離れた人物の無意識の歩行に対しても適用可能であることから、特に広域監視や犯罪捜査といった応用が期待されている。その一方で、観測視点・歩行速度・服装・映像のフレームレートなどが変化すると、観測される歩容特徴も変化し、認証精度が低下するという問題点がある。本講演では、歩容認証の基本的な流れを概説すると共に、これまでに取り組んできた各種要因に対して頑健な歩容認証手法を紹介する。また、我々が構築した世界最大の歩行映像データベースや、世界に先駆けて開発した歩容鑑定システムについても触れつつ、今後の歩行映像解析技術の展望を述べる。
5: 「データを見て、観て、診る」センシングとマイニングによる制御系設計・画像処理・音声圧縮・生体信号処理
講師:満倉靖恵(慶應義塾大学) 略歴: |
「データを見て、観て、診る」これはあらゆる分野において大変重要なキーワードである。さらに、データを得るための「センシング」も同様に、あらゆる分野で重要視されている。本発表前半では制御系設計における「見て観る」、画像処理における「見て診る」、音声圧縮における「観る」、データマイニングにおける「見て観て診る」、生体信号における「観る」をテーマに、如何にデータ解析が重要か、さらにはデータを得るためのセンシングの重要性をそれぞれの分野の実例を挙げてお話します。また、後半では米国の2000億、欧州の1500億をかけたアポロ計画・ヒトゲノム計画に匹敵する国家プロジェクトのブレインイニシアチブについて、生体信号解析の重要性と将来性について大学目線および企業目線からお話します。