オーガナイズドセッション

OS 1: 20周年記念特別セッション
「画像センシングの過去・現在、そして未来」

 6月12日(木) 11:15~12:45

〔オーガナイザ〕

 佐藤雄隆(産総研)

〔司会〕

 坂上勝彦(産総研)


〔講演者〕

 輿水大和(中京大学)

 諏訪正樹(オムロン),藤吉弘亘(中部大学),
 鳥居秋彦(東京工業大学)


〔セッション概要〕

 「SSII」そして「画像センシング技術」の過去・現在、そして未来について語る20周年記念特別セッションを企画いたします。過去20年の流れ、そして現在の動向、更には将来の展望までもが90分に凝縮した必見のセッションです!



【企画1: SSIIの技術哲学 -過去、現在、そして未来を語る-】

                   SSII Philosophy on Image Technology

– for prospecting its FUTURE beyond the CURRENT–

 

 20年の時を経て1,000名を超える参加者が集う場にまで大成長を遂げたSSII。それを背景で支えてきたSSII画像技術論・哲学とは!?そして更なるフロンティアを展望するために今後何が必要なのか!?画像センシング技術研究会輿水会長が語ります。


【講演者】
画像センシング技術研究会会長
輿水大和(中京大学)

 SSIIの歴史は、画像研究者を画像技術課題が起きている現場に赴かせ、また現場で開催される画像技術開発会議卓への参画を如何に支援できるか、これに資するための学術活動を提供することを追い求めてきた歴史と思われる。この現場でこそ、画像技術の真髄・先端(Cutting Edge)に出会えると約束しているようである。この歴史が1000名を越える参加者をここSSIIに誘い、60%を超える産業現場からの参加者率を生み続けてきたのだから、この歴史的蓄積の中に隠れた教訓を明瞭にしなければその先は展望できない。そして、明瞭になった教訓を背後から支えてきたSSII画像技術論・哲学はどんなものであったか素描することは、われわれの責務でもある。またその哲学を実装するために、どんなSSII組織論・運営指針を培かおうとしてきたか微細に記録することは我々だけにできることである。更に、このようなSSIIであり続けるための今後の行動指針と、更にその先のフロンティアを展望するにはどんなカリキュラムを自らに課したらよいかを考えない法はない。



【企画2: SSIIの技術マップ -過去、現在、そして未来に向けて-】

 研究報告の多い下記の三つの領域について、第一線で活躍中の研究者が、画像センシング「技術」の過去・現在、そして未来を凝縮させた技術動向マップを作成、本セッションにて熱く語ります!




【講演者】
諏訪正樹(オムロン)


【領域】
イメージング


 画像センシングとしての入力系を光の持つ様々な特性から俯瞰してみます。



【講演者】
藤吉弘亘(中部大学)


【領域】
認識


 特徴点・記述、特徴量、識別器の変遷をまとめ、その動向を紹介します。

【講演者】
鳥居秋彦(東京工業大学)


【領域】
三次元シーンの復元


 ジオメトリ、マッチング、サーフェス生成の変遷をまとめ、その動向を紹介します。


 

 

OS 2: 物体認識の最前線
      ~先端技術の実利用に向けて~

 6月13日(金) 11:15~12:45

〔オーガナイザ〕

 山下隆義(中部大学)


〔講演者〕

 安倍満(デンソーアイティラボラトリ)

 山下隆義(中部大学)

 中山英樹(東京大学)


〔セッション概要〕

 画像認識技術は、デジタルカメラなどのコンシューマ機器への搭載や自動運転にむけた自動車への搭載、クラウドでの大規模データ処理等、様々な領域で実用化されております。その一方、組み込み機器への搭載に向けた高速化や省メモリ化、大規模な画像・映像データに含まれる多種多様な条件での高精度化に対応すべく、日々進化し続けております。本セッションでは、新たな画像認識技術として注目されている「高速化な物体認識のための二値特徴量」、「高精度な物体認識のためのDeep Learning」、「新たな物体認識の領域を切り開く詳細画像判別」について、最前線でご活躍されている研究者の方々にご講演いただきます。ご講演では、各注目技術について、幅広く概要を紹介して頂くだけでなく、さらに実利用 するためのノウハウやどこまで実用化されているのかなど、ビジネスへの展開の可能性についても示唆して頂きます。



【各講演のご案内】

【講演者】
安倍満(デンソーアイティラボラトリ)


【題目】
物体認識の高速化・省メモリ化のための二値特徴量


 物体認識の分野では、認識対象の特徴を実数のベクトルで表現することが一般的でした。しかしながら、近年では計算速度やメモリ消費量の問題を解決するために、特徴を二値のベクトル(二値特徴量)で表現するというアプローチが注目されています。例えば、二つの二値特徴量間の類似度はハミング距離で定義できます。これはXORとビットカウントを組み合わせることで、極めて高速に計算できます。また、二値特徴量はベクトルの各要素を1ビットで表現できるため、メモリ上にコンパクトに配置できます。本講演では、このような利点を持つ二値特徴量の設計方法と応用事例について、弊社の取り組みを交えつつ紹介させて頂きます。


【講演者】
山下隆義(中部大学)


【題目】
話題のDeep Learningとは?~使いこなすために知っておきたいこと~


 画像認識の分野のみならず音声認識などの他分野を含めて、Deep Learningという機械学習手法が注目されています。Deep Learningは古典的なNeural Networkをベースとしつつ、新たな学習のテクニックが導入されることで、汎化性に対する課題を解決できるようになっています。また、GPUなどのハードウェアの進化により、大規模なデータの演算を現実的な時間で処理できるようになった点も大きな変化点となっています。一方、ネットワークの構成やハイパーパラメータの設定などまだまだ未知な点も多く、使いこなすには大変困難な点も多々あります。本講演では、Deep Learningとはなにか?について、一般的な手法(RBMとCNN)に関する概要を紹介します。また、今の実用化の状況、また使いこなすためにはどうすればよいのかをいくつかの実例を交えながら紹介させていただきます。


【講演者】
中山英樹(東京大学)


【題目】
タカとハヤブサはどこが違う?~新たな認識領域「詳細画像識別」の展開と応用~


 近年注目を集めている詳細画像識別(fine-grained visual categorization) は,視覚的に極めて類似したカテゴリの多クラス識別を行うものであり,従来の一般物体認識と特定物体認識の中間に相当する新しい研究領域であると考えられています.具体的なドメインに特化する代わりに,一般的な人間を遥かに超える精度の画像識別を目指すものであるため,さまざまな実アプリケーションへと実を結ぶことが期待されています.この数年の間に,その実現へ向けたさまざまな取り組みが次々に始まっており,特徴量や識別アルゴリズムの設計および意味解釈に人間の知見を効率よく利用する試みが注目を集めています.本講演では,詳細画像識別における最新の動向を,講演者の研究事例も交えながら紹介します.



 

 

OS 3: 実世界の法則を計測に活かす。賢いイメージング

 6月13日(金) 15:30~17:00

〔オーガナイザ〕

 日浦慎作(広島市立大学)


〔講演者〕

 村上百合(東京工業大学)

 香川景一郎,川人祥二(静岡大学 電子工学研究所),
 谷田純(大阪大学)

 徐 剛(立命館大学&株式会社三次元メディア)


〔セッション概要〕

 「機械の目」を実現するためのイメージング技術は、従来のカメラが捉える可視光カラー画像の枠からどんどん飛び出しています。対象物体の形状情報を直接的に含んだ距離画像は動きの把握に強みがあり、ゲーム機や自動車の運転支援など実環境への応用が急速に進んでいます。またマルチスペクトル画像は人の目を超えた認識を可能とし、農業やリサイクルなどの分野で、質の高い持続的社会を実現するための立役者としての期待が高まっています。しかしこれらはいずれも、従来はカラー画像よりも入力に時間がかかるものでした。それでは、これらを低コストかつ高速に取り込むには?その鍵となるのは実世界の様々な法則がもたらす冗長性です。物体には一定の大きさの表面があり、またその動く速さが有限である以上、距離画像は時間・空間軸双方に冗長性を持ちます。また、分光スペクトル分布も素材の連続性やバリエーションに制約されます。このオーガナイズドセッションでは、ただ撮るだけではなく,工夫をこらしたセンサに高度なアルゴリズムを組合せた「賢いイメージング」の実例と、その考え方について掘り下げていきます。



【各講演のご案内】

【講演者】
村上百合(東京工業大学)


【題目】
複合解像度方式による効率的なマルチスペクトル画像取得法


 マルチスペクトル画像は高次元のデータですが、空間・波長方向共に高い冗長性を有します。そこで、この冗長性を排した低次元の情報のみを実際に計測し、後段の信号処理により高次元のマルチスペクトル画像を復元することができれば、効率的な画像取得が可能となります。このような考え方に基づき、空間・波長方向のいずれかのみが高解像度な情報を併せて取得し、これらの情報から空間・波長方向の共に高解像度のマルチスペクトル画像を復元する複合解像度方式のイメージング法を提案しています。どのような条件の際に誤差なく復元が可能であるのか、どのような原理で復元可能であるかを解説すると共に、この原理に基づいてマルチスペクトル動画像撮影を行った例などを紹介します。









【講演者】
香川景一郎,川人祥二(静岡大学 電子工学研究所),谷田純(大阪大学)


【題目】
3Dだけではない多眼カメラの新展開:小型高機能と超高性能の実現




 多眼カメラは,複数のレンズと,1つまたはレンズと同数のイメージセンサから成る,古くて新しいカメラです.多眼性を利用することで,3D撮像に加えて,偏光/分光/時間分解/広角撮像など,多様な撮像方法を目的に応じて1台のカメラに集積できます.複眼カメラTOMBOは,イメージセンサとほぼ同じサイズのフットプリントで,多眼カメラを実現します.そのため,口腔内や消化管といった狭隘空間での生体情報の取得,モバイル機器のような小型装置に内蔵する多用途カメラに適しています.また,多眼の冗長性はカメラの高感度化・低ノイズ化,およびイメージセンサの高速化にも有用です.実効的にF/1.0を大きく下回る極めて明るい光学系をもつカメラシステムや,時間分解能1nsに迫る超高速撮像イメージセンサを開発しています.

【講演者】
徐 剛(立命館大学&株式会社三次元メディア)


【題目】
産業ロボットのための3次元ビジョン


 産業ロボットに目を持たせることにより、更に多くの単純作業を自動化できます。産業ロボットのための3次元ビジョンセンサに求められる基本的機能は、3次元形状認識と3次元形状計測です。これらの機能を実現する上で解決しないといけない技術課題について学問の立場から分かりやすく解説します。3次元形状計測については既に多くの研究がなされてきていますが、3次元形状認識の本質は必ずしも一般的に知られていません。これをパラメータ探索の問題として定式化し、パラメータの数、探索空間の大きさ、探索に必要な計算量、モデルの自動作成、医用画像処理などへの応用について述べます。